大相撲には懸賞金がかけられ、買った力士に作法を通して懸賞袋が渡されます。
大相撲ではよく見る光景ですが、一体この懸賞袋にはどれだけの金額が入っているのでしょうか。
またこの作法にはどのような成り立ちがあるのでしょうか。
また懸賞袋を受け取る際に、力士が手刀を切るのはどういういわれがあるのでしょうか。
大相撲の懸賞金っていくらなの?
大相撲の懸賞金は、大相撲の取組みで勝利した側の
力士に授与される金額の意味です。
よく取組前にスポンサーの大きな旗を持った男性が、
土俵の周りをぐるっと一周しますよね。
懸賞金6万円のうち、5千円は相撲協会の事務経費に、
2万5千円は納税充当金として獲得本人名義の預かり金
として天引きされるので、勝利力士は勝ち名乗りに際し
懸賞1本当たり手取りで3万円を受け取ります。
大相撲の懸賞金の受け取り方
懸賞がかかった一番では、行司は勝ち名乗りの後に
軍配の上に懸賞袋を乗せて、勝った力士に差し出します。
この場合、軍配は三方(神道において使われる、神饌を載せる台)の代用とされます。
勝ち力士は、これをみっつ手刀を切ってから受け取るのが現在も作法です。
これは昭和の大関であった名寄岩から始まったもので、
これに前にはもっと無造作に受け取っていたと思われます。
名寄岩以前には、懸賞を無造作に受け取るのが普通だったのですが、
名寄岩はこれを無作法で見た目にも良くないものと考え、
現在の作法のようにしたところ、他の相撲取りの真似を
したのが始まりだと言われています。
しかし、左利きである横綱朝青龍が左手で手刀を切って
懸賞金を受け取ったときに、横綱審議委員会の内舘牧子が
それを問題視し、以後、右手で手刀を切ることが暗黙の取り決めとなりました。
これに関しては、朝青龍に対する個人攻撃ではないかという批判もあります。
大相撲の懸賞金の受け取り方の変化
懸賞金は手刀を切った後、手刀を切った方の手(つまり片手)で
受け取るのが普通でした。
でも近年は1つの取組に掛けられる懸賞金の本数が増えて
束が厚くなったこともあり、14日目や千秋楽の横綱戦などでは
右手で手刀を切った後に両手で懸賞金を受け取る光景が見られるように変わりました。
手刀を切る意味って?
名寄岩によると、手刀を 3つ切るのは、
『心』という字を書くと言うことで、手刀を切る切り方も、
力士本人から見て左→中央→右の順でした。
左が神産美日神(かみむすびのかみ)、
右が高御産美日神(たかみむすびのかみ)、
中が天御中主神(あまのみなかぬしのかみ)の
五穀の守り三神に感謝する礼儀であるとされていますが、
「心」の字を書く力士もおり、その場合、懸賞金を受け取った後に4画目を払う動作をしています。
『手刀』そのものは、日本の儀礼のひとつ
日本では人の前を横切る時や、あるいは雑踏に分け入って
行く時などに、盾にして手のひらをやや身体から離した状態で、
数回上下させる習慣があります。これが「手刀を切る」という動作 です。
手刀はもともと、相手に掌を開いて見せることで、
相手に自分が武器を持っていないことを示しつつ、
自分が行く方向を指し示すと言う意味を持っていたと思われます。
また同時に腰を低くしたり言葉を添えたりすることで、
謙虚さを表す動作であったとされます。
まとめ
大相撲の懸賞金の受け取り方は、行司が軍配に乗せている懸賞袋を、
もともとは片手で受け取っていました。
その懸賞袋の受け取り方の儀礼は昭和の大関であった
名寄岩によって形式をつくられました。
名寄岩以前にはもっと無造作に受け取っていたと思われます。
このように大相撲の儀礼の内容を知った上で大相撲を見ると、
もっと観戦が面白くなりますね。