是枝裕和監督の最新作「ベイビー・ブローカー」が2022年6月24日から公開されています。「ベイビー・ブローカー」は監督自身初の韓国映画で、カンヌ国際映画祭では主演のソン・ガンホさんが最優秀男優賞を受賞したという話題作!そこで今回は、韓国映画「ベイビー・ブローカー」について作品情報や是枝監督が韓国映画を撮った経緯についてご紹介していきます。
カンヌ国際映画祭で話題!韓国映画「ベイビー・ブローカー」
- 監督・脚本・編集:是枝裕和
- 上映時間:130分
- 制作:2022年
- キャスト:ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、イ・ジウン、イ・ジュヨン
「ベイビー・ブローカー」は、日本人の是枝裕和監督が韓国人スターのソン・ガンホとタッグを組み、オリジナル脚本で制作されたヒューマンドラマです。第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にも出品され、主演のソン・ガンホさんが男優賞を受賞しました。
あらすじ
多額の借金の返済に追われながらクリーニング店経営をしているサンヒョンと、赤ちゃんポストのある施設で働く児童養護施設出身のドンスは、赤ちゃんを横流しするベイビーブローカーとしての裏の顔を持っていました。土砂降りの雨の夜、ポストに預けられた赤ちゃんを連れ去りますが、翌日赤ちゃんを取り戻しにきて、異変に気付いた母親が警察に通報しようとします。
仕方なく2人はその母親と赤ちゃんの育ての親になってくれる人を探す旅にでることに。一方、ベイビーブローカーの正体がサンヒョンとドンスであることに気づいたスジン刑事と後輩のイ刑事は、逮捕する確固たる証拠を掴むべく、静かに3人を尾行し始めますが・・・。
みどころ
ソン・ガンホさんが「これは命を巡る映画だ」だと語るほど、「生まれてきてよかったのか」という人間の永遠の問いかけに対する答えが描かれた映画となっています。養母を探す旅を見ながら、生まれてくるという奇跡や人との絆の意味についてきっと考えさせられることでしょう。映画「ベイビー・ブローカー」はテーマこそ重いですが、希望や温かさを感じる感動作となっています。
是枝裕和監督とソン・ガンホさんの出会い
役者ありきで、撮影場所を選ぶという是枝監督。また、慣れ親しんだ日本を離れ、違う場所で新しい挑戦をすることがおもしろさを生むのではないかという狙いもあり、最近は海外にも目を向けているとのこと。今回、映画「ベイビー・ブローカー」を韓国で制作したのは、以前出席した釜山国際映画祭にてソン・ガンホさんやカン・ドンウォンさんたちといつか一緒に映画を作ることを約束していたからだそうです。作品はすべてチェックしているほど是枝監督の大ファンという、ソン・ガンホさん。是枝監督の新しい作品「ベイビー・ブローカー」のオファーがあったときは、ときめいてしまうほど光栄に思ったそうですよ。
是枝裕和監督 プロフィール
早稲田大学卒業後は独立テレビプロダクションでドキュメンタリー番組などを演出していた是枝監督ですが、1995年初監督映画「幻の光」でベネチア国際映画祭撮影賞などを受賞。
2004年の映画「誰も知らない」では、当時14歳の柳楽優弥に日本人初・史上最年少での男優賞をもたらしました。2013年の映画「そして父になる」では、第66回カンヌ国際映画祭コンペティション部門の審査員賞を受賞。2015年「海街diary」や2016年「海よりもまだ深く」の人気作を制作。福山雅治との再タッグとなる2017年の「三度目の殺人」では日本アカデミー賞では作品賞・監督賞など6部門で最優秀賞を受賞しました。2018年の「万引き家族」では第71回カンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞。是枝監督はますます世界から注目されることとなりました。
ソン・ガンホ プロフィール
ソン・ガンホさんは大学を中退した後、一度は軍へ入隊しましたが24歳で劇団に入り、映画デビューを果たします。映画デビュー後は、「JSA」や「シュリ」など、たくさんの名作に出演。2006年に出演した「グエムル~漢江の怪物~」は、韓国の歴代観客動員数を更新しました。完全に役に成り切る人間くさいリアルな演技は、本物の実力俳優ならでは。第75回カンヌ国際映画祭では今作「ベイビー・ブローカー」で最優秀男優賞を受賞。その演技力は世界をも魅了しました。
まとめ
近年、レベルの高い話題作を提供している韓国の映画産業。韓国は日本よりも映画の予算が高く、全面でバックアップする環境が整っているため、日本よりものびのびと映画を製作できるそうです。だからこそ韓国映画「ベイビー・ブローカー」は是枝監督の実力を発揮した素晴らしい映画となり、世界から注目されたのでしょう。最優秀男優賞を受賞したソン・ガンホさんの演技も見逃せませんね。これからも是枝監督とソン・ガンホさんの2人を応援していきたいと思います。