毎年、年末の寒くなり始める季節から流行しだすのが、インフルエンザや感染性胃腸炎です。今年は例年よりも早い時期から感染が拡大しており、特に子どものいらっしゃるご家庭は、行事も多い季節とあって感染症による突然の学級閉鎖などを経験されているかもしれません。
そこで、今回はこれらの感染症の原因や、症状、予防方法についてお伝えしていきます。
【原因と症状】インフルエンザと胃腸炎の違いは?原因と症状について
インフルエンザと感染性胃腸炎に関して、共通した症状は発熱です。しかし、感染性胃腸炎が主に消化器系に症状がでるのに対して、インフルエンザはB型でない限り、消化器系の症状は少ない傾向です。
インフルエンザの原因と症状
インフルエンザは、インフルエンザウイルスの感染によって引き起こされます。インフルエンザにはA型、B型、C型の3種類が知られています。インフルエンザA型は、38度以上の高い熱や、筋肉痛、関節痛、咽頭痛、鼻づまりなどの症状が特徴的です。B型インフルエンザは、「お腹の風邪」と呼ばれるような腹痛や下痢などの症状が出ることが多いとされていますが、A型より全体的に軽い症状で済むことが多い傾向があります。
(「【A型・B型・C型】インフルエンザの種類とそれぞれの症状」:meiji https://www.meiji.co.jp/influ-navi/know/detail02.html)
感染性胃腸炎の原因と症状
感染性胃腸炎の場合は、なんらかの微生物が原因で引き起こされます。有名なのは、ロタウイルスやノロウイルスです。これらが引き起こす体の症状には、嘔吐・下痢・腹痛・発熱があります。
(「感染性胃腸炎」:和歌山市感染症情報センター http://www.kansen-wakayama.jp/page/page010.html)
【感染経路と予防方法】感染を防ぐための予防法8選も紹介!
インフルエンザも感染性胃腸炎もまずは、感染経路を断つことで周囲への感染を防ぎましょう。
インフルエンザは、主にウイルスが混入した飛沫、接触、空気で感染します。そして、感染性胃腸炎は、接触の他、経口によって感染します。
2つの感染症に共通している感染経路は接触感染ですので、患者との物品の共有はしないか、手指や周辺の消毒を徹底することが重要です。
感染を防ぐ方法8選
①正しく手を洗う
手を洗う時は石けんを使い、手のひら、手の甲、指先や爪の間、指の間、手首までしっかりとあらいましょう。洗い終わったら、清潔なタオルなどで水をしっかりふき取りましょう。家族とタオルを共有しないように、使い捨てのペーパータオルなどを使うのも効果的です。
(「感染症対策へのご協力をおねがいします」:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000593494.pdf)
②消毒する
インフルエンザウイルスは、消毒用アルコールに弱いため、アルコール消毒が有効です。手指だけでなく、よく手が触れるドアノブや電気のスイッチ、リモコンなどもアルコールで消毒しましょう。アルコール濃度は60~90%程度のものを選ぶと良いでしょう。また、次亜塩素酸ナトリウムの消毒剤も効果的です。
しかし、感染性胃腸炎を引き起こすロタウイルスやノロウイルスには、アルコール消毒の効果は低いと言われており、次亜塩素酸ナトリウムの消毒が推奨されています。次亜塩素酸水は、家庭用塩素系漂白剤などを希釈することで簡単に作れますが、使う用途によって希釈倍率が違ったり、金属に吹き付けたままにするとサビの原因になったりするので、注意して使いましょう。感染性胃腸炎は、経口によっても感染するので、感染者は調理しないようにしましょう。
(「感染性胃腸炎が発生した場合の消毒について」山口県https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/soshiki/47/18963.html)
③免疫を高める
免疫力が低くなるとウイルスに感染しやすくなります。免疫を高めるためには、十分な睡眠をとり、ストレスをためないことが重要です。適度な運動を取り入れ、禁煙、肥満や低体重を避けるようにしましょう。
(「Q.免疫力はワクチン接種以外でも上げられますか」厚生労働省 https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/0050.html)
④バランスのよい食事や調理法に気を付ける
健康的な体つくりのためには、三大栄養素の炭水化物、タンパク質、脂質をバランス良く摂り、ビタミンやミネラルなどの栄養素も意識的に摂りましょう。
また、細菌やウイルスは、しっかり加熱することで殺菌・不活化できます。十分に加熱できていないと感染力のある細菌やウイルスが残る場合があります。特に、近年、ノロウイルスに汚染されている牡蠣が増加傾向にあるので、牡蠣の調理はしっかりと火をとおしましょう。
(「ノロウイルス」農林水産 https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/f_encyclopedia/norovirus.html)
⑤適度な湿度を保つ
インフルエンザウイルスは、湿度が高い環境に弱いという特徴があります。空気が乾燥すると、喉や気道も乾燥し、ウイルスの侵入を防ぐ機能が低下します。湿度は50~60%前後に保つのが良いでしょう。
(「ノロウイルス(感染性胃腸炎)・インフルエンザ」横浜市戸塚区 https://www.city.yokohama.lg.jp/totsuka/kurashi/kenko_iryo/yobosesshu/kansen.html)
⑥換気する
感染症には、こまめな換気が効果的です。窓を開けて空気を入れ替えることも良いですが、換気扇をうまく使うことも有効です。
⑦人ごみを避ける
感染は人を介しておこるので、感染を防ぐには、人が多い場所への外出は控えましょう。特に寝不足や体が疲れているときには、免疫力が落ちているので外出を控えましょう。また、人混みに入るときは、マスク着用することである程度の感染対策ができます。
⑧予防接種を受ける
乳幼児がかかると症状が重くなりがちなロタウイルスや。インフルエンザにはワクチンがあるので、予防接種を受けておくことも有効です。残念ながらノロウイルスにはワクチンがないので、体力のない方、高齢者や持病を持っている方は、特に予防に注意が必要です。
(「冬の感染症④ノロウイルスとロタウイルス」:日赤和歌山情報局 https://www.wakayama-med.jrc.or.jp/webmagazine/detail.php?seq=152)
まとめ
例年、インフルエンザも感染性胃腸炎も11月を過ぎた頃に流行してきますが、今年は流行が拡大しており、注意が必要です。インフルエンザと感染性胃腸炎で、アルコールの有効性や経口による感染など、細かい部分に違いがあっても、基本の予防対策は同じですので、日頃からの対策を心がけましょう。