日本語には、同じ意味を表しているように思える言葉が多数ありますよね。どちらを使っても問題ないかと思いきや、細かな違いがあり片方は適切じゃない、なんてこともあるようです。
今回はややこしい日本語の適切な使い方を紹介します。
「以来」と「以降」
最初に紹介するややこしい日本語は「以来」と「以降」です。「恩師とは高校を卒業して以来会っていない」「恩師とは高校を卒業して以降会っていない」どちらでも意味が通じますよね。
このようにある一定の時より後、といった表現をするのに使える言葉が「以来」と「以降」です。
「以降」は未来の事柄にも使える
ただ、この2つの言葉には細かな違いがあり、「以降」は「来週以降なら参加できる」というように、未来の事柄にも使う事ができます。
一方、「以来」は未来の事柄には使えません。確かに「来週以来なら参加できる」では違和感を覚えますよね。
【間違えると恥ずかしい!】ややこしい日本語19選 | リクナビNEXTジャーナル (rikunabi.com)
「制作」と「製作」
次は細かな漢字の違いです。何かを作る時に用いられる「せいさく」という言葉。「制作」と「製作」も同じような意味に思えますが、細かな違いがあるようです。
「制作」は映画や絵画など、芸術性を伴う作品に対応します。個展や展覧会に出品する作品などは「制作する」と書くのですね。
一方「製作」は工業製品や日用品など、実用的な物品に対応するようです。
「退職」と「離職」
続いて紹介するのは「退職」と「離職」です。どちらも職から離れることを指す言葉ですが、全く同じに使えるわけではないようです。
勤めていた会社を辞めることを広く「退職」と言います。それに対し、離職は「退職や失業によって職務を離れること」。公的機関での手続きをする時に使われるのが離職です。
会社を辞める時の仕事関係者へのメールやハガキは「離職のご挨拶」ではなく「退職のご挨拶」、迷ったら「退職」を使うのが間違いなさそうです。
ちなみに「解雇」は会社から契約解除を通達された場合に使います。それ以外の辞め方なら「退職」になるのですね。
「頭が上がらない」と「頭が下がる」
続いて紹介するのは「頭が上がらない」と「頭が下がる」です。字面のイメージはどちらも同じような気もしますが、使い方は大分異なっています。
「頭が上がらない」は、相手に負い目や引け目を感じて対等に振る舞えない様子を指します。「迷惑ばかりかけて、伴侶には頭が上がらない」といった使い方になりますね。
「頭が下がる」は相手を尊敬したり、相手に感謝したりする様子を表していますよ。「伴侶の献身には頭が下がる」といった使い方になります。
「頭が上がらない」は謝罪、「頭が下がる」は感謝のイメージですね。
「違法」と「不法」
続いて紹介するのは「違法」と「不法」です。どちらも法に反する、反していることを表す言葉のように思えますね。
実際に「違法」はずばり法律に違反していることを意味する言葉になります。「不法」も同様の意味を持っていますが、不法の場合は更に広く、道理や同義に背くような反社会的な行為に広く使える言葉です。
不法の方が広く使え、間違いがないように思えますが、違法という言葉もよく使われていますよね。明確に法律違反だと示せるのが違法ということでしょうか。
「怒る」と「叱る」
最後に紹介するのは「怒る」と「叱る」です。どちらも教育などの際に使われる言葉のように思えますが、「怒る」の方はもっと広い用途を持っていそうですね。具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
「叱る」は自分の感情を押さえて、相手のことを思って指導することを指します。一方「怒る」は、感情が高まって腹を立て、相手にただ感情をぶつけることを指すようです。
行われている事象は似ているのに、込められた意味自体は正反対のようにも思えますね。
最後に
今回はややこしい日本語の正確な意味について紹介しました。
言われてみれば「正しい使い分け方は知らないかも!」って言葉も多くありますよね。同じ読み、かつ似た漢字で使い方が変わってくる、なんてことになると、ちょっと勘弁して欲しいかもしれません。