「逆もまた然り」という言葉を聞いたことありますか?
日常ではあまり使わないかもしれませんが聞いたことはありますよね?
なんとな~くわかっていてもきちんと意味がわかっていないと恥をかいてしまうこともあるかも?しれませんよね。
きちんと意味を知った上で正しい日本語を使いましょう!
実は奥深~い日本語ですから、この際きちんと知っておきましょうね!
「逆もまた然り」の意味とは?
然りとは、「そのとおりである」という肯定の意味で使います。
「逆もまた然り」は、「逆もまたそうです」という意味ですね。
「当然」、「もっともなこと」など強い意味合いもあるのですが、
どちらかといえば「そのとおりだ」という意味の方が的を得てます。
然りの語源は「神様のいうとおり」なんです。
んん?「神様のいうとおり?」
「どちらにしようかな、神様のいうとおり~」昔、どちらにするか迷ったときに
おまじないのように歌ったような・・・・いえいえ、余談あります・・・
然りは、すなわち神託によって導かれた答えだということなのです。
絶対的な力を持つ「神」・または、第三者によって保証された事柄のことを「然り」と表現します。
仏教の言葉に「自然」(ジネン)という言葉があります。
これは、「自分を然る」という意味として使われ
作為のない「そのままのあり方」の状態を自然と言います。
仏教の「自然」の考え方に当てはまるため、この字が当てられたとされています。
先ほどのわたくしの余談ではありますが、
古人はつらい時、迷ったとき、不安になった時に神様に教えを乞うという風習があったので
「神様のいうとおり」は魔法の言葉だったのかもしれませんね。
「逆もまた然り」の例文は?使い方を伝授!
何度もお話してきましたが、然りは「そのとおり」という意味で使われます。
ですから、話し言葉ではほとんど使いません。
「そのとおり」と言えば済んでしまいます。
事実、あまりこの「然り」という言葉を会話の中で使っている人いませんよね。
だからブログとかコメントで見たことがあるのではないですかね。
「然り」は主に文章で使用します。改まった場面ではあまり使われません。
然りは、例をいくつか並べた後に、「〇〇もまた然り」など逆説的な表現をするときに使います。
使う形としては、「〇〇も然り、しかしまた逆も然り」というように、
意味としては「〇〇も当然だが、逆の意味もまたそのとおりである」というように使われます。
例えば、ちょっと固くなってしまいますが、「然るがゆえに〇〇」という使い方もできます。
この意味は「そのようになるので、〇〇です」という意味です。
少し例文をご紹介していきますね!
例文
- 天災は忘れた頃にやってくる。人災も然り。
(天災は人々の記憶から忘れられることに再び襲います。人災もそのとおりです)
- 周りの細部をみる力も然り、人を惹きつける力も然り。
(リーダーの才覚とは、チームをまとめ上げる力だけでは務まりません。)
- 会社の体制に反抗するための手段としては退職するも然り、しかし残って対抗するのも然り
(会社の体制に反抗するために退職する手段もあるし、残って対抗することもできる)
- 彼は英語が得意なので英訳ができるし、またその逆も然り
(英文を日本語に訳せるし、日本語を英文に訳すこともできる)
「逆もまた然り」の類語や対義語は?
「逆もまた然り」の類語は?
「然り」と同じ意味の言葉は「そのとおり」、「当然だ」という意味を持つ言葉と同じと言えます。
またYES・NOのYESに当たる意味合いですから
相手の言っていることを肯定する言葉に言いかえることができます。
「同様です」
同様は「同じように」「非常に似ている」という意味ですので
然りの「そのとおり」という意味と言い換えることができます。
使い方→「この犯行は以前に起きた事件のものと同様なので、同一人物の犯行か模倣犯であろう」
「おっしゃるとおりです」
YESかNOの意味での肯定には、然りの言い換えとして「おっしゃるとおりです」があります。
然りは日常会話ではあまり使わないにせよ、知識として覚えておきましょう!
「おっしゃるとおりです」は「そのとおりです」「言ったとおりです」の尊敬語の敬語の表現です。
知っていて使わないのと、知らないとはえらい違いですから・・・
「左様でございます」
左様でございますは「そうです」の敬語の表現です。
元々は「然様」と書かれていました。これが「左様」と当て字になりました。
これは、日本での「左が格上」という考え方から来ているという説で
「左におられる方がそうおっしゃっていた」→「左様が肯定する」となり「左様でございます」となったようです。
「恋然り」
「無くてぞ人は恋しかりける」ということわざもあります。
このことわざ知っていますか?
これはもともと古歌なのですが、これを紫式部が源氏物語にて引用してます。
帝の寵愛を受けていた、光源氏の母親の桐壺更衣が亡くなった時の周りの心境を
この和歌を引用し表しているんですよ。
これは、いつも一緒にいた時にはさほど想わなかった相手でも、
いざ死別や別離で会えなくなると、恋しさが込み上げてくる、という意味。
うんうん、情景がよく伝わりぐんと意味深い感じですよね~
恋然りとは「恋とはそういうものだ」という意味です。
古歌で使うと「然り」という言葉も風情がありますよね・・
「逆もまた然り」の対義語は?
「然り」は肯定を表す言葉なので、然りの反対語は「否」(いな)となります。
否は否定を表す言葉。「いいや」「いいえ」など同意をしない返答の時や
「違う」という意味でも使われます。
また前言を撤回して言い直したりする時にも使います。
例文→「明日は晴れます。否、晴れのち晴れのち曇りで、雲が多めの日になります」
「否」も「然り」同様あまり、会話では使いませんが知っておくと良いでしょう。
まとめ
いかがでしょうか。少しは「然り」の意味や成り立ちお判りいただきましたでしょうか?
どんな言葉にも語源があり、その意味を知ると日常使う時にも幅広い使い方ができると思います。
だんだんと、日本語の語源や成り立ちなどが忘れられていくのも寂しいですが
本当の意味を知った時、「なるほどね~」と感じるだけでも違いますよね。
日本人の私だって、日本語って難しいな~と思います。
そこが日本語の魅力なのかもしれませんがね。
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